四国八十八か所遍路道を行く

平成28年9月19日(月)第3日目

正木伸治

出発 到着  参拝寺 宿泊地 宿泊所名
料金
ルート 距離
km
累計
km
 
7:40 17:30 第10番 藤井寺
第11番 焼山寺
徳島県何西郡神山町 すだち館
4,000円 
旅館八幡〜藤井寺〜焼山寺〜すだち館 18.3km 50.9km

                           この日のルートは、赤で囲んだところ

 7時40分に宿を出て9時25分に藤井寺に到着。途中非常に大きな吉野川を渡り順調に歩行。
ここから、難所で所謂「遍路ころがし」といわれるところを歩いて十二番札所の焼山寺に向かった。(この藤井寺と焼山寺の間が、四国八十八か所遍路中の最大の難関だと思う。)高い山を二山越えるが、二山の間も結構アップダウンがあった。ガイドでは、12kmで6時間となっている。台風の影響で今にも降り出しそうな空模様だった。
 予想通りに難所で、その苦闘の模様が下記。

 今日死にかけた。(冗談抜きで本当に死ぬかと思った。)7時40分に旅館出て、十一番札所の藤井寺に着いたのは、9時40分頃。10時10分に藤井寺を出発した。とにかく次の焼山寺までは、非常に厳しい道が続いた。最初の1時間は、登りばかり、さらに、それからも何回、上り下りを繰り返した。そして、途中には、売店はおろか自動販売機もなく、人も通らない。途中であったのは、トレーニング中の女性を除いてたったの3人であった。さらに、悪いことに食料を何も持っていなかったのである。持っているのは水だけ。このことが最悪の結果を招くことになってしまった。最後の2キロくらいのところから、また登り坂。ここで気力が切れかけていた。さらに足が前に進まなくなってきた。途中で下野さん(この日同宿となった。)という人に会ったが、先に行った。本当に最後の最後で足が動かなくなり、死んでしまうのかとさえ思った。電話をかけようとも思ったが、そんなこと出来ないし電波も届いていない。途中炭焼き小屋のようなトタン屋根の場所があり、雨が本降りになっているので、そこで休憩。ずっとそこにいようかと思うほど気力も体力もなくなっていた。自分の頭の中には、最後の最後で高い、上り坂がまたあると思っていた。そんな坂登れない。しかし、少し休んだ後、出来る限り歩くことを決めた。5分歩いては止まりというような感じであった。そこで光明が見えた。遠く上の方でヘッドライトの明かりが見えたのである。これで助かったと思った。そこまで歩いていけば、倒れても助けてもらえるからである。そして、その道路までは、遠くなかった。その道路に出たら、その前は、石灯籠が並んで立っていたのである。(石灯籠ではなく石の銘板である。)完全に焼山寺の参道である。これで助かったと同時に、到着もすることが出来た。参道を歩いて、山門のところまでいき、一息入れて、毎回の儀式を行い、納経帳に書いてもらった。それから、またヘルプが入った。途中で会った下野さんという人が、宿を世話してくれたのである。寺の宿坊は、泊めてもらえなかったから、宿を探す必要があったのである。下野さんが予約の確認をするのと同時に僕のこともきいてもらったらokであった。山門のところまで車で迎えに来てくれた。歩いて行くことなどとても無理であった。歩くことにこだわらず、臨機応変にいくことにした。宿に着いたら、すぐに温泉に行こうということになった。宿の粋なはからいである。いい温泉であった。いい温泉という前に、少しオーバーなのかもしれないが、死にかと思うようなことがあり精神的にも肉体的にも疲れ切っており、そのことがあってからの温泉であるから、生まれて初めて味わったことがないような温泉の気持ち良さというか癒されるというか何と見言えない最高の温泉であった。この温泉の感覚は一生忘れることがないように思う。
 それから、下野さんや、先に泊まっていた佐藤さん、沢田さんなど素晴らしい人たちに出会えた。これも旅の醍醐味である。これを縁というのであろう。この人たちは、そんなことがあった日に会った人ということで、これも一生忘れないと思う。
 とにかく、生まれた初めて厳しい死に直面するような体験をした。それでも無事でよかった。仏はまだ僕を見捨てていないのであろう。それから、今後長い時間、山の中を歩くようであれば、必ず食料を持つようにする。大反省である。(上記の歩行距離は、焼山寺から宿まで車に乗ったので、その距離は含まず。)

大きな吉野川をこんな幅のない低い橋を渡った 橋を渡ったところにあった遍路の接待所(休憩所)こんな休憩所は以降何度もみることになる。
 
十一番札所 藤井寺の山門   十一番札所 藤井寺の本堂
 
藤井寺の仏号,寺号,三宝印   藤井寺からここまで急な上りばかりで、やっとここまで来てやれやれと思ったが、これから先が、まだまだ上り下りが多かった。
 
険しい山道に水場 水大師と書かれたあった。   リュックをおろして休憩。杖は使い慣れないので、少し邪魔であったが、坂の上り下りには役に立つ。杖には同行二人と書かれてあり、杖が弘法大師さんということであろうか。
 
浄蓮庵の弘法大師像と左右一本杉 雨が降っており、なかなかスマホの写真は撮れなかった。さらに疲れて写真を撮る余裕もなかった。   焼山寺の仏号,寺号,三宝印
寺の本堂や山門、大師堂などは、疲れ切っており、さらに雨が降っていたので撮影出来なかった。

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