正木伸治
プロローグ 2013年にスペイン巡礼の道780kmを歩きましたが、自分もやれば出来るなあと、少し自信が付きました。そんなことから、いずれは日本の四国八十八か所の遍路道を歩こうと思っていました。いつ歩くかは、その時の成り行きということにしていました。 僕は、基本的に旅が好きですが、特に海外旅行が好きで毎年どこかへは行っています。さらに、今後行きたいところも多くあります。その絡みもあって、四国八十八か所をいつ行くか決めかねていましたが、スペインから三年経つし、年齢的な体力のこともあるので出来るだけ早いうちということで昨年末に2016年に決めました。 時期は、いつがいいかと考えましたが、春か秋かの暑さが厳しくない時がいいであろうということで、準備期間が少ない春より秋にしようということになりました。スペインの時も秋だったし残暑もあるものの、まあ何とかなるであろうとの判断で色々諸般の事情もある中で、9月17日出発と決めました。 今年初めから、色々計画を考えておりましたが、まずネットを調べ、さらに「へんろ道保存協力会」が発行する下の写真のガイド本と地図をネットで購入しました。 歩き方や寺参りの仕方から、宿のことから服装など他にも色々と書かれています。ただ、この本の通りしなければならないということはなく、マナーさえ守れば自分流でも良いのではと思いました。 道具も一通りそろえました。 右写真の通りですが、金剛杖、白衣、菅笠、輪袈裟、数珠、納経帳、納札、山谷袋、経本です。その他、線香、ローソクは別途揃えました。ネットで購入し全部で15000円くらいです。 具体的な歩行計画は、上写真のガイドブックと地図で決めていきました。難しかったのは、必ずしも均等な距離で寺がないということと、寺と宿泊する宿の位置も点在しており、まあ、道の難易度なども把握しにくく苦労しました。現実的には、歩きながら色々な人からのアドバイスももらい、かなりの修正をしました。民宿のオーナーに聞いたのですが、計画を立てる場合は、寺と寺の距離で決めるより、宿と宿の距離で計画を立てた方が、無理のない歩行計画が立てられるということです。しかし、高知の室戸岬あたりは、寺と寺の間が非常に距離があり2〜3日歩いてばかりのところもありました。 今度もし再び遍路するのであれば、今回の経験を生かして宿から宿の距離を基準として計画を立てると思います。しかし、たぶんもう一度歩くことはないと思います。(あんなにしんどいことしたくないというのが本音です。(笑) そもそも何故歩くのかということですが、一般的には何かの願を掛けて歩くとか、誰かの供養のために歩くとか、宗教的な信心から歩くとかとくのが多いかもしれませんが、僕の場合は、一般的な動機とは全くかけ離れたことで、ただただ、完歩して達成感を味わいたい、自分を試したい、好奇心などチャレンジしたいという気持ちからの遍路ということです。とりあえいずは、服装や歩き方、参拝の仕方など型通りにしましたが、これは自分自身のモチベーションを上げるためのものであり、基本的にはどうでもいいことでした。きっと、弘法大師さんも苦笑いされていると思います。完歩した後、人から人間が変わりましたかなどと聞かれましたが、実際何も変わっていません。まあ、変わったか変わらないかは、自分で判らないし、人様の見た目に感じた目の評価でしかありません。その辺のことについては、遍路日記中に記載していきたいと思います。 結果としては、46日間で完歩出来ました。(内1日は台風のために足止めをくらいました。)歩くのに支障のないマメが少し出来たくらいで、体調も崩すこともなく、怪我もすることもなく、大きなトラブルに見舞われることもなく、無事に帰って来られたことは幸いだったと思います。スペインの時と同様に感じたことは、丈夫な体に生んでくれた今は亡き両親に改めて感謝の気持ちを持ったのは言うまでもありません。本当にありがたいことです。 以下、日毎の遍路の記録を日記調で書いていきたいと思います。出来れば、歩いているときと同じように、1日づつアップしていければと思っております。 |
出発 | 到着 | 参拝寺 | 宿泊地 | 宿泊所名 料金 |
ルート | 距離 km |
累計 km |
14:10 | 16:50 | 第1番 霊山寺 第2番 極楽寺 第3番 金泉寺 |
徳島県板野町 | 旅人の宿 道しるべ 5,940円 |
霊山寺〜極楽寺〜金泉寺〜宿「道しるべ」 | 6.6km | 6.6km |
この日のルートは、赤で囲んだところ 朝9時過ぎに家を出発。難波から阿波エクスプレス号高速バスに乗り徳島に向かった。バスは、30分遅れて高速鳴門に到着。さあ、いよいよ巡礼開始はいいのであるが、最初から大失敗。降りる場所が違ったのである。鳴門西で降りなければならないので鳴門で降りてしまった。降りてしまったというより、間違ってはいないのであるものの最初の計画が間違っているのである。ガイドブックには、バスの停留所は、鳴門しかないのである。あれは、ガイドブックにも問題がある。(鳴門西は、高速バス高松線の停留所で、鳴門は徳島線の停留所であることが後で判った。)降りてスマホでナビを開始したが、何と徒歩2時間の距離になってしまうのである。これで気が付いた。仕方ない。時間がないので一番札所の霊山寺までは、タクシーで行くことになってしまった。タクシーで3610円かかり余分な出費となった。最初から、徒歩巡礼の目標(完全徒歩での完歩)が崩れたが、まあ仕方のないことである。一番札所をスタートとしてポジティブに考えることにした。バスを降りた時から、風が強く、雨も降りだしたので最悪だったが、一番札所についてからは、天気であったので、その後問題なく寺を回ることが出来た。一番札所で、参り方を教えてもらい、その通りにした。明日からは、多少順序を割愛して効率よく回るつもりである。般若心経のお経もあげた。まあ、無茶苦茶であるが、あんなもんでいいであろう。二番札所の極楽寺、三番札所の金泉寺と回り(17時で寺の納経所は閉まるので多少微妙であったが。)宿舎に向かった。途中ナビが変な道に誘導したので、笹藪の中を通っていたが、何とか宿舎にたどりついた。17時前であった。小ぎれいな比較的新しい民宿であった。無事に一日目の巡礼が終わった。結局この日は、7km弱の歩行距離で肩慣らしといったところであった。ハプニングもあったが、旅とはこういうものである。しかし、大過なく臨機応変に対応で来たことは良かった。夕食の時、僕より1歳年下の、本当に老人といった感じの人と話をした。全く僕と同じ環境で独身だとのこと。僕の方が、若々しくて何だか優越感を感じた。部屋に戻りバタンキュウーで22時くらいまで寝てしまった。それからいったん目を覚まして、明日の予定などのことを準備した。明日から本格的な遍路となる。
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